運用編・第8回
アカウントの棚卸しと、異動の季節
この動画は、順次公開します
ひとことで言うと
異動の季節は、IDを作る、変える、止める、という作業が、短い期間に一度に集まります。
異動してきたら、最初に確かめること
チェックは、このスマートフォンのブラウザに保存されます。
解説(テキスト版)
はじめに
情シスには、4月になると、こんな相談が届きます。異動した前任者のアカウントを、止めてほしい。でも、どこまで止めればいいのか、分かりません。
あるいは、辞めた会計年度任用職員のIDが、半年たっても残っていた、という連絡。どちらも、いま有効なIDの持ち主を、確かめる仕組みがないことが原因です。
今日は、アカウントの棚卸しと、異動の季節の運用をお話しします。
一言で言うと
先に、一言でまとめます。異動の季節は、IDを作る、変える、止める、という作業が、短い期間に一度に集まります。
そして棚卸しとは、実際に残っているIDの一覧を、人事の名簿や契約の名簿と突き合わせて、持ち主のいないIDを見つける作業です。
地図のどこか
運用編は、庁舎の中を、毎日安全に動かし続けるための話です。今日は、その入口になる、人とIDの管理を取り上げます。
ネットワーク編の三層で考えると、IDの仕組みは、層ごとに分かれていることがあります。マイナンバー利用事務系は、ほかの層とは通信しない専用の端末で使うので、ほかの層のIDを止めても、そちらは止まりません。
どの層に、どんなIDがあるのか。団体によって違うので、自分の団体の図で確かめてください。
異動の季節に集まる作業
4月は、異動と退職が重なります。新しく来た職員のIDを作る。所属が変わった職員の、見られるフォルダや、使えるシステムを変える。業務を離れた職員のIDを止める。
この3つが、同じ時期に来ます。しかも、人事からの正式な連絡が、4月に入ってから届く団体もあります。
そのため、年度末のうちに、いつ、誰が、何を作業するのかを決めておく団体が多いです。これは一般的な例で、団体によって違います。
ガイドラインに書かれていること
総務省の、地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの例文には、利用者IDの取扱いが書かれています。
職員の異動、出向、退職に伴うIDの取扱い方法を定めること。業務上必要がなくなったときは、登録の抹消を知らせること。
そして、使われていないIDが放置されないよう、人事の部門と連携して、点検すること。今回は令和5年3月版で確認しました。最新版は、番号などが変わっているかもしれません。
持ち主が分からなくなりやすいID
棚卸しで、持ち主が分からなくなりやすいIDには、いくつかの型があります。
一つ目は、会計年度任用職員や、臨時の職員のID。契約が終わる日と、IDを止める日が、ずれやすいからです。
二つ目は、委託先の作業員のID。人が入れ替わっても、IDだけが残ることがあります。三つ目は、共用のIDや、管理者の権限を持つIDです。
クラウドサービスのアカウントも同じです。ガイドラインでも、外部サービスの利用を終えるときは、そのために作ったアカウントを廃棄することが挙げられています。
止める手順の例
止める手順は、団体によって違います。一般的な例として、こんな流れが多いです。
人事から、異動の一覧が届く。それをもとに、アクティブディレクトリなどの庁内のIDを、止める、または権限を変える。
次に、庁内のIDと連携していないクラウドサービスや、業務システムのIDを、一つずつ確かめます。止めたら、いつ誰が止めたかを記録に残します。
退職する職員の場合は、メールやデータの引き継ぎが先にあります。止める日と、引き継ぎの日は、別に決めておきます。
棚卸しの見方
棚卸しは、一覧を2つ並べるところから始まります。一つは、システムに実際に残っているIDの一覧。もう一つは、人事や契約から見た、いま使うはずの人の名簿です。
名簿にいないのにあるIDは、止める候補です。反対に、名簿にあるのに、長い間ログインしていないIDも、確かめます。最後にログインした日時が見られるシステムなら、手がかりになります。
どれくらいの頻度で行うかは、団体によって違います。年に一度の団体もあれば、異動の後に必ず行う団体もあります。
管理者の権限を持つID
棚卸しで、特に慎重に見たいのが、管理者の権限を持つIDです。
ガイドラインの例文は、管理者権限などの特権を持つIDを使う人を、必要最小限にし、そのIDとパスワードを厳重に管理することとしています。
異動や退職で、特権を持つ人が変わったときは、パスワードを変えているか。誰が、いま使えるのか。一般のIDより、先に確かめておきたい点です。
現場でよくある誤解
現場でよくある誤解を、3つ挙げます。
一つ目。人事システムで退職の処理をしたから、全部のIDが止まっている、という誤解です。連携していないシステムのIDは、別に止める必要があります。
二つ目。使っていないIDだから、残っていても害はない、という誤解です。古いIDは、持ち主が気づかないまま悪用されても、見つけにくくなります。
三つ目。マイナンバー利用事務系は、ほかの層とは通信しないから、棚卸しは要らない、という誤解です。通信しなくても、持ち主が異動すれば、権限の見直しは必要です。
異動してきたら最初に確かめること
では、異動してきたら、まず何を確かめればいいでしょうか。
一つ目。IDの一覧を、誰が、どの層ごとに持っているかです。庁内、クラウド、専用の端末の層を、それぞれ確かめます。
二つ目。異動や退職の連絡が、人事から、いつ、どの形で届くかです。会計年度任用職員や委託先の人の入れ替わりを、誰が知らせてくれるのかも、確かめます。
三つ目。前回の棚卸しの記録です。いつ、何件を止めたのかが分かれば、自分の団体のやり方が見えてきます。
理解度テスト
3問です。答えを選んで、「答え合わせ」を押してください。
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