運用編・第1回
スイッチと庁内の配線
この動画は、順次公開します
ひとことで言うと
スイッチは、庁舎の中で、パソコンやサーバーをつなぐ、交通整理の装置です。そして、スイッチの設定で、庁内のネットワークを、論理的に分けることができます。これをVLAN、日本語で言うと、仮想的なLANの分割と呼びます。
異動してきたら、最初に確かめること
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解説(テキスト版)
はじめに
情シスには、こんな相談が届きます。会議室のネットワークの口にパソコンをつないだのに、インターネットにつながらない。どこを見ればいいですか、と聞かれる。
あるいは、新しい課ができるので、席の配置を変えたい。ネットワークの口を増やせますか、と頼まれる。
どちらも、庁舎の中の配線と、スイッチを知らないと、答えられません。今日から運用編です。まず、スイッチと庁内の配線をお話しします。
一言で言うと
先に、一言でまとめておきます。スイッチは、庁舎の中で、パソコンやサーバーをつなぐ、交通整理の装置です。
そして、スイッチの設定で、庁内のネットワークを、論理的に分けることができます。これをVLAN、日本語で言うと、仮想的なLANの分割と呼びます。
運用編は、ネットワーク編とセキュリティ編でお話しした仕組みを、毎日どう動かし続けるか、というお話です。第1回は、いちばん下の、配線から始めます。
地図のどこか
ネットワーク編の第0回でお話しした、全体地図でいうと、今日は、庁舎の中の、三つの層のそれぞれの内側の話です。
三層分離は、マイナンバー利用事務系、LGWAN接続系、インターネット接続系の、三つに分けるものでした。ネットワーク編の第3回でお話ししました。
マイナンバー利用事務系は、ほかの層とは通信しない、専用の端末です。この専用の端末の口を、ほかの層の口と取り違えないように管理するのが、スイッチと配線の大事な仕事です。
スイッチとは
スイッチは、LANケーブルをつなぐ箱です。パソコンの背面や、壁の情報コンセントから来たケーブルが、最後に集まる先が、スイッチです。
スイッチは、届いた通信の宛先を見て、必要なポートにだけ送ります。宛先には、機器ごとに決まっている、MACアドレスという番号を使います。
こうして、同じLANの中の機器どうしが、つながります。ネットワーク編の第1回でお話しした、IPアドレスの世界の、一つ手前の仕組みです。
L2スイッチとL3スイッチ
スイッチには、大きく二種類あります。MACアドレスだけを見るのが、L2スイッチです。レイヤー2、つまり、第2層、という意味です。
もう一つが、L3スイッチです。IPアドレスも見て、違うネットワークの間を、中継できます。ルーターの役目も、あわせて持つ機器です。
庁舎では、フロアごとに小さなL2スイッチを置き、それをまとめる中心に、L3スイッチを置く形が、一般的な例です。団体によって違います。
VLANで層を分ける
VLANは、一台のスイッチを、論理的に、複数のネットワークに分ける設定です。ポートごとに、あなたはAグループ、あなたはBグループ、と割り当てます。
同じスイッチにつながっていても、グループが違えば、通信できません。違うグループの間を通すには、L3スイッチなどでの中継が必要で、そこでルールをかけられます。
VLANによる論理的な分離だけで、三つの層をすべて一台のスイッチにまとめる構成も、技術的にはできます。ただ、マイナンバー利用事務系は、L3スイッチのACL、つまり通信を許可する設定を一つ誤るだけで、住民の情報が流出する重大な事故に、つながりかねません。
そのため、多くの自治体では、マイナンバー利用事務系について、VLANによる分離に加えて、専用の物理スイッチと専用の回線を使う、二重の分離を取っています。自分の団体の構成は、必ず確かめてください。
ポートと配線の表
運用でいちばん役に立つのは、ポートと配線の表です。壁の情報コンセントの番号が、パッチパネルのどこにつながり、どのスイッチの何番のポートか、という対応表です。
この表がないと、席を移すたびに、ケーブルを一本ずつ追いかけることになります。表がある団体でも、更新されていないことが、よくあります。
さらに、そのポートが、どの層で、どのVLANなのかも書いてあると安心です。マイナンバー利用事務系の口を、ほかの層の口と、見分けられるようにしておくためです。
故障・交換・ループ
スイッチが故障したときは、交換になります。このとき、設定の控えがあるかどうかで、復旧の時間が大きく変わります。
もう一つ、現場でよくあるのが、ループです。会議室などで、空いている二つの口を、ケーブルでつないでしまうと、通信がぐるぐる回り続けて、ネットワークが重くなることがあります。
これを防ぐ仕組みに、STP、スパニングツリーなどがあり、スイッチに入っていることが多いです。ただ、設定が入っているかは、機種や団体によって違います。
つながらないときの見る順番
会議室でつながらないときの、見る順番の一例です。まず、ケーブルが、壁の口にささっているか。次に、スイッチのランプが、ついているか。
それでもだめなら、そのポートが、どのVLANかを、配線の表で確かめます。VLANが違うと、ケーブルがつながっていても、目的の通信は届きません。
ここまで確かめて分からなければ、ベンダーや保守の窓口に連絡します。この順番は、一般的な例です。団体の手順に、合わせてください。
現場でよくある誤解
現場でよくある誤解を、3つ挙げます。
一つ目。スイッチは、つなげば動くので、設定は要らない、という誤解です。VLANの割り当てなどは、設定してあるから、動いています。
二つ目。VLANで分けてあるから、絶対に混ざらない、という誤解です。設定の誤りがあれば、混ざります。分けたあとも、見直しが要ります。
三つ目。空いている口は、使っても問題ない、という誤解です。その口がどの層につながっているかを知らないまま使うと、意図しない層に入ってしまいます。
異動してきたら最初に確かめること
では、異動してきたら、まず何を確かめればいいでしょうか。
一つ目。ポートと配線の表です。あるか、いつ更新されたか、そして、層やVLANの区別が書いてあるかを見ます。
二つ目。スイッチの設定の控えと、交換用の機器です。誰が持ち、どこに保管しているかを確かめます。
三つ目。スイッチの保守契約と、障害のときの連絡先です。保守の話は、第12回でも詳しくお話しします。
理解度テスト
3問です。答えを選んで、「答え合わせ」を押してください。
結果は、このブラウザに保存されます。成績ページで合言葉を決めると、別の端末でも続きから使えます。