運用編・第11回
サーバー室と電源(UPS)
この動画は、順次公開します
ひとことで言うと
UPSは、停電のときに、サーバーが安全に止まるまでの時間を稼ぐ箱です。長い時間、動かし続けるためのものではありません。
異動してきたら、最初に確かめること
チェックは、このスマートフォンのブラウザに保存されます。
解説(テキスト版)
はじめに
情シスには、こんな相談が届きます。来月、庁舎の法定点検で停電する。サーバーはどうすればいいのか。
あるいは、サーバー室のUPSから、ピーという音がしている。どちらも、サーバー室の電源の話です。今日は、サーバー室と、UPSをお話しします。
一言で言うと
先に、一言でまとめます。UPSは、停電のときに、サーバーが安全に止まるまでの時間を稼ぐ箱です。長い時間、動かし続けるためのものではありません。
そしてUPSの中の蓄電池は、容量が大きいと、消防法にもとづく火災予防条例の対象になります。これは、あまり知られていない注意点です。
地図のどこか
サーバー室は、ネットワーク編の地図で出てきた、三層のサーバーが置かれている、物理的な場所です。
鍵がかかり、入る人が決まっていて、電源と空調が整っている。ここが止まると、層に関係なく、すべてが止まります。
ガイドラインの例文でも、電源については、施設管理の部門と連携して備えることとされています。
UPSとは
UPS、無停電電源装置は、中に蓄電池を持ち、停電になると、その電気で機器に電気を送り続ける装置です。
ガイドラインの解説は、予備電源として、パソコンにつなぐ小型のUPSや、蓄電池設備、自家発電機など、さまざまな種類があると説明しています。
目的は、機器が適正に停止するまでの間、電力を供給することです。数分から、長くても数十分という製品が多く、停電の間ずっと動かすものではありません。
蓄電池は減っていく
UPSで気をつけたいのは、蓄電池が、年月とともに弱ることです。
ガイドラインの解説には、1年前は30分ほど給電できた蓄電池が、サーバーを増やした結果、15分ほどしか持たなくなった例が挙げられています。
そのため、施設管理の部門から、給電できる時間を、定期的に確認しておくことが必要だとされています。交換の時期は、製品によって違うので、仕様書や保守の契約で確かめます。
空調と、計画停電
サーバー室では、空調も同じくらい大切です。空調が止まると、室温が上がり、機器が止まることがあります。UPSがあっても、空調が止まれば、長くは持ちません。
庁舎の法定点検などで、計画停電があるときは、サーバーを先に止める必要があります。止める順番や、立ち上げる順番は、システムごとに違います。
一般的には、止めるときは、利用者に近いものから。立ち上げるときは、土台になるものから、という考え方が多いです。具体的な手順は、構築した委託先の手順書が基本になります。
UPSの蓄電池と、消防への届出
ここで、消防法の話です。蓄電池設備は、消防法施行令と、総務省令を踏まえた、市町村の火災予防条例により、火災のおそれのある設備として規制されています。
消防庁の通知では、容量が4,800アンペアアワー・セル未満のものは、対象から除かれています。つまり、これ以上の容量が、規制の対象です。
消防庁の資料によると、火災予防条例の例では、蓄電池設備を設置しようとする人は、あらかじめ、消防長または消防署長に届け出ることとされています。
ただし、条例は市町村ごとに定められています。近年は、単位をキロワット時に変える動きもあり、たとえば仙台市は、令和6年1月から、10キロワット時以下は届出が不要、20キロワット時を超えると届出が必要になりました。
自分の団体では
では、自分の団体のUPSは、届出が要るのか。パソコン用の小さなUPSは、この対象に当たらないことが多いです。
一方、サーバー室に置く大きなUPSや、蓄電池を入れ替えたり、増やしたりするときは、容量によって、届出が必要になることがあります。
基準は、市町村の条例と、消防本部の運用で決まります。庁舎の設備は、施設管理の部門が、届出の書類を持っていることもあります。まず、そこに聞いてみてください。
サーバー室の入退室
サーバー室は、電源だけでなく、入る人の管理も大切です。誰が、いつ入ったのかを、記録に残している団体が多いです。
委託先の作業員が入るときも、同じです。付き添う人を決め、入った時間と出た時間を記録します。
電源の工事や、空調の点検で、施設管理の部門や、業者が入る場合もあります。情シスが知らないうちに、作業が行われないよう、連絡の流れを決めておきます。
停電のあとに確かめること
停電から復旧したあとは、サーバーが立ち上がっただけでは、終わりません。業務システムが、ふだん通りに動くか、利用部署と一緒に確かめます。
時刻が合っているか、バックアップは動いているか、ログは残っているかも、あわせて確認します。
手順書には、立ち上げた後の確認項目まで書いておくと、次の担当者が迷いません。
現場でよくある誤解
現場でよくある誤解を、3つ挙げます。
一つ目。UPSがあるから、停電しても動き続ける、という誤解です。UPSが持つのは、安全に止めるまでの時間です。
二つ目。UPSは情シスだけの設備、という誤解です。電源や空調は、施設管理の部門の仕事と重なります。消防への届出も、庁舎全体で確認が必要です。
三つ目。蓄電池は、つなぎっぱなしでも、いつまでも使える、という誤解です。弱ってきて、いざというとき、すぐに切れてしまうことがあります。
異動してきたら最初に確かめること
では、異動してきたら、まず何を確かめればいいでしょうか。
一つ目。UPSの置き場所、容量、給電できる時間、蓄電池の交換時期です。台帳か、保守の契約書で確かめます。
二つ目。消防への届出が必要な設備かどうか、必要なら、届出の書類が残っているかです。施設管理の部門と、一緒に確認します。
三つ目。計画停電の止め方と立ち上げ方の手順書、そして、そのときの連絡先です。最後に手順書を使ったのがいつか、も確かめます。
理解度テスト
3問です。答えを選んで、「答え合わせ」を押してください。
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