情シスの教科書

ネットワーク編・第5回

インターネットにつながるLGWAN-ASPと、セキュアブラウザ

この動画は、順次公開します

公開準備中

ひとことで言うと

LGWAN接続系の端末が、インターネットのものを使うときは、直接つなぐのではなく、基本的に、関所を通ります。

異動してきたら、最初に確かめること

チェックは、このスマートフォンのブラウザに保存されます。

解説(テキスト版)

はじめに

情シスには、こんな相談が届きます。原課から、LGWAN接続系の端末で、このクラウドサービスを使いたい、と言われる。

職員から、ホームページを見るのが重い、と言われる。外から届いた添付ファイルを、庁内の仕事で使いたい、と頼まれる。

どれも、LGWAN接続系とインターネットの間で、何が起きているのかが分からないと、答えられません。私も最初は、うまく説明できませんでした。

今日は、インターネットへの出口、画面転送、無害化、そして、LGWAN-ASPの話です。

一言で言うと

先に、一言でまとめておきます。LGWAN接続系の端末が、インターネットのものを使うときは、直接つなぐのではなく、基本的に、関所を通ります。

関所には、絵だけを送る画面転送と、ファイルの危ないものを取り除く無害化があります。そして、その先のインターネットへの出口は、多くの自治体で、都道府県がまとめています。

地図のどこか

第0回の全体地図でいうと、今日は、LGWAN接続系とインターネット接続系の間にある関所と、その先の、自治体情報セキュリティクラウド、インターネットの話です。

LGWAN接続系は、基本的に、インターネットとはつながっていません。だから、関所が要るんです。

ここで、いちばん大事な点を、先に言っておきます。手元の端末でホームページが見えても、それが画面転送なら、端末はLGWAN接続系の側にあります。

見えるかどうかではなく、端末がどちら側に置かれているかで、考えてください。

インターネットへの出口

まず、インターネットへの出口です。インターネット接続系の通信は、自治体情報セキュリティクラウドを通って、外に出ていきます。

これは、2015年の情報流出の事案を受けた対策の強化のなかで、都道府県と市区町村が、共同で使う仕組みとして作られました。

総務省の資料では、都道府県と市区町村がWebサーバーなどを集約して、監視やログの分析をはじめ、高度なセキュリティ対策を行うもの、と説明されています。

主な機能は、インターネット通信の監視、ファイアウォールなどの入口の対策、メールのウイルス対策、そして、専門の人による運用の監視です。

つまり、自分の自治体のインターネット接続系は、自分たちだけで守っているのではありません。都道府県が用意した、共同の出口を使っているんです。

いまの契約は、総務省の2024年9月の資料で、過半数の都道府県が、2026年度末で終わるとされています。県の予定を聞いてみる価値があります。

出口で、番号が置き換わる

第1回で、庁内の端末はプライベートIPアドレスなので、出口でグローバルIPアドレスに置き換えてもらっている、とお話ししました。その出口が、ここです。

庁内の端末が、外のホームページを見ると、相手のサーバーには、庁内の番号ではなく、出口でつけ替えられた、グローバルIPアドレスが見えます。

では、その番号は、自分の自治体だけのものなのか。団体によっては、そうとは限りません。

総務省の調査では、ある都道府県から、閲覧系や公開系のIPアドレスを共有の形で使っているため、第三者機関にブロックの判定をされると、全団体に影響が出る、という回答がありました。

同じ番号を、ほかの団体と一緒に使っている場合がある、ということです。自分の団体がどうなのかは、確かめておきましょう。

なぜ大事かというと、外のサービスの側で、特定の番号からだけ、アクセスを許可する設定をすることがあるからです。そのとき登録する番号は、庁内の番号ではなく、出口の番号になります。

画面転送(セキュアブラウザ)

次に、LGWAN接続系の端末から、インターネットを見る方法です。それが、画面転送、セキュアブラウザなどと呼ばれる仕組みです。

流れは、こうです。インターネット側に、ブラウザの動く環境が用意されています。そこでホームページを開いて、開いた画面の、絵だけを、手元の端末に送ってもらいます。

手元に届くのは、絵だけです。ホームページのプログラムや、ファイルそのものは、手元の端末には来ません。

だから、危ないサイトを開いても、LGWAN接続系の端末には、入りにくい。そういう考え方です。

もう一度、混同しやすい点です。手元の画面にホームページが映っていても、端末は、LGWAN接続系の側にあります。インターネット接続系の端末になったわけではありません。

一方で、インターネット接続系に端末を置いて、そこから直接インターネットを見る形もあります。どちらなのかで、守り方も、できることも変わります。

この画面転送の環境は、セキュリティクラウドの追加の機能として、用意している都道府県もあれば、自治体が別に用意している場合もあります。誰が用意しているのかを、確かめましょう。

無害化

もう一つの関所が、無害化です。外から届いたメールの添付ファイルや、インターネットからダウンロードしたファイルを、LGWAN接続系で使いたいときに通します。

無害化は、ファイルの中の、危ないものを取り除く処理です。たとえば、文書に仕込まれたプログラムを外して、安全な形に作り直してから、渡します。

ただし、作り直すので、元のファイルとまったく同じとは限りません。レイアウトが崩れたり、一部の機能が使えなくなったりすることがあります。

無害化を行う場所は、団体によって違います。総務省の2024年の資料では、セキュリティクラウドの機能として、メールやファイルの無害化を取り入れている都道府県は、7割ほどでした。

取り入れていない場合は、別の場所で行っているはずなので、自分の団体はどこで行っているのか、確かめておきましょう。

また、総務省の検討会では、無害化の効果が下がってきているのではないか、という意見も出ています。今の形が、ずっと続くとは限りません。

LGWAN-ASP

では、LGWAN-ASPは、この中のどこに出てくるのでしょうか。第4回でお話ししたとおり、LGWANの中で、自治体向けのサービスを提供する仕組みです。

J-LISの説明では、LGWAN-ASPは、J-LISが安全性を審査しているため、自治体側で個別にセキュリティ対策をしなくても、使える形になっています。

電子入札のように、インターネットの向こうの企業とつながるサービスもあります。職員は、LGWAN接続系の端末から、LGWANを通って、そのサービスを使います。

つまり、原課が使いたいクラウドサービスが、LGWAN-ASPとして提供されていれば、LGWAN接続系の端末から、そのまま使える可能性があります。

ただし、すべてのクラウドサービスが、LGWAN-ASPになっているわけではありません。なければ、画面転送で使うのか、インターネット接続系で使うのか、という話になります。

冒頭の相談なら、まず、そのサービスが、LGWAN-ASPに登録されているかを確かめます。

クラウドにつなぐLGWAN-ASP

LGWAN-ASPの中には、インターネット上のクラウドサービスを、LGWAN接続系の端末から使うためのサービスもあります。大きく分けると、2つの形があります。

一つは、画面転送の形です。たとえば、レコモットのmoconaviの、LGWANクラウドゲートウェイサービスです。クラウドの画面を手元に送ってもらう形で、ファイルのダウンロードには、無害化も付いています。

もう一つは、クラウドサービスとの通信を、LGWANの側からつなぐ形です。たとえば、両備システムズのR-Cloud Proxyは、LGWAN経由で、AWSなどのクラウドサービスにつなぐサービスです。

この形では、画面だけでなく、データそのものが行き来します。便利な反面、注意が要ります。

注意したいのは、無害化が標準では付いていないことがある点です。ファイルを取り込むなら、どこで無害化するのかを、別に決めておく必要があります。

また、クラウドサービスの側の運用に、制限が出ることがあります。使える機能や、設定の変え方が限られることがあるので、原課が考えている使い方ができるかを、契約の前に確かめてください。

同じLGWAN-ASPでも、どちらの形かで、守り方も、できることも変わります。LGWAN-ASPだから同じ、ではありません。

現場でよくある不便さと誤解

現場でよくある不便さと誤解を、4つ挙げます。

一つ目。ホームページが見えているから、インターネット接続系の端末だ、という誤解です。画面転送なら、端末はLGWAN接続系の側にあります。

二つ目。ホームページが重いのは、端末のせいだ、という思い込みです。画面転送は、離れた環境で開いた画面を送ってもらうので、動画や、画面が大きく動くページは、重く感じやすくなります。

原因が、転送の環境や、共同の出口の混み具合にあることもあります。どこが遅いのか、切り分けてください。

三つ目。使いたいサイトが開けない、という相談です。セキュリティクラウドには、不審なサイトを止める仕組みがあります。

総務省の調査では、危険のないサイトやメールまで止まってしまい、解除の手続きが事務の負担になる、という自治体の声がありました。オンライン会議のように、すぐの反応が要る通信で、不具合が出るという声もあります。

四つ目。無害化したら、ファイルが崩れた、という相談です。故障ではなく、作り直した結果であることが多いです。

原本の形が必要なときの扱いを、決めておきましょう。

異動してきたら最初に確かめること

では、異動してきたら、まず何を確かめればいいでしょうか。

一つ目。原課が使っているクラウドサービスの一覧です。それぞれが、LGWAN-ASPなのか、画面転送で使っているのか、インターネット接続系なのかを、書き込んでみてください。

二つ目。画面転送の環境です。誰が用意して、どこで動いていて、止まったときは、どこに連絡するのか。

同時に使える人数も、聞いておきましょう。

三つ目。無害化を、どこで行っているのかです。対象のファイルと、崩れたときの相談先を確かめます。

四つ目。セキュリティクラウドです。都道府県の窓口、契約が終わる時期、不審なサイトを止められたときの解除の手順を聞きます。

そして、自分の団体が外に出るときの番号が、ほかの団体と共通なのかどうかも、確かめておいてください。

理解度テスト

3問です。答えを選んで、「答え合わせ」を押してください。

問1画面転送(セキュアブラウザ)で、手元の端末に届くものはどれですか。
問2無害化について、正しい説明はどれですか。
問3自治体の端末が外のサイトにつなぐとき、相手側に見える番号について、確かめておきたいことはどれですか。

結果は、このブラウザに保存されます。成績ページで合言葉を決めると、別の端末でも続きから使えます。

ネットワーク編のほかの回